更新されない夏

正月に引き続き、今年のお盆は帰省しないことにした。
毎年だったら地元の夏野菜がたっぷり使われた母の手料理を食べていたが、今年はそれができない。


枝豆、とうもろこし、スイカ
あと寿司。
ビール。
からの冷酒。
風呂上がりにハーゲンダッツ


寿司からすでに夏野菜が使われていないことについてあまり深く考えないでほしい。

実家のすぐ側に朝市がある。半分リタイアしているような農家さんが、自給自足には有り余る立派な野菜を持ってきて売っている。

その日の朝の採れたてを母が買いに行き、とうもろこしなんかはすぐ茹でるか蒸かすかして朝食に出してくれた。
ときどき、どっかの漬け物名人のばあちゃんが茄子漬けを売っていて、これがまぁ上手で美味しかったのを覚えている。
イカも溺れるほどに食べたし、枝豆も無限に食べ続けた。

昼は素麺か蕎麦で、ゴーヤのてんぷら。

クーラーの利いた部屋で、愛犬と昼寝。

お盆前に亡くなった祖父のお墓参りは命日に合わせてお盆前に行き、その帰りに決まった寿司屋に行くのが恒例だった。

寿司屋のあとは祖母の家に行き、祖母にスイカ食べるかアイス食べるかとずっと聞かれ続ける。子供の頃から変わらない。もう私30になるのよ、もう胃腸の無理がきかないのよ、と適当に返事する。軽やかにそれを無視して祖母はスイカを出してくるから、無下にできなくて結局食べる。


満腹をちょっとオーバーした胃をヒーヒーと抱える昼下がり。電気をつけない部屋は外からの光で逆光。
テレビにはのど自慢が映ってる。冷房のために窓を閉めているのに、蝉がジュワジュワうるさい。

この思い出が更新されないことがあるなんて。


本当は夏の食事について書きたかったんだけど変わってしまった。夏野菜がたくさん使われたご飯を誰かと一緒に食べたい。