うろ覚え書評_変態文学

イッテQ!でイモトがカナリア諸島を訪れていた。カナリア諸島と聞いて思い出すのがミシェル・ウェルベックの「ランサローテ島」だ。

たしか新興宗教と変態の話だった。(ど直球)


うろ覚えなので半分以下の省エネモードでどうぞ。

村上春樹の本には、いるかホテルと羊男とコーラとサンドイッチ、というイメージがある。かわいくて危なっかしくてどこか脆いヒロインと、暗くて哲学的でクールなかっこつけの主人公がお決まりだ。

宮崎駿の映画には、健気でミディアムヘアで控えめに笑う賢い少女と、勇敢で底抜けに思いやりがあって少しだけドジでわんぱくな少年が出てくる。

どちらも作者の理想なのかな、と思う。なりたい自分と理想の恋人みたいなものなのかと。

ミシェル・ウェルベックはフランス人だからなのかわからないけど、性的な描写が露骨。そんなこと言ったらフランスの人に怒られるかな。

主人公は遅咲きかその逆か、ナーバスで仕事に疲れて休暇を取りがち。
若くないけど男女の関係は自由奔放。自分はそういう行為自体に重きは置いてないけどね、ガールフレンドがね、というスタンスが印象にある。確かにフランス男が「いっちょやったるでー!」みたいなのは読みたくないですね。

余談だが、クール振る主人公の周りにはどうしてこう、エロい女が集まるんだろう。すごい偏見だけど、村上春樹太宰治もそうじゃないですか。すごい偏見なんですけど。

純文学におけるモテる男は大体暗いし、女は美人か普通よりちょっとかわいくてエロい。そして引き際がきれいすぎる。実にフィクション。

作者の個人的な理想なのかは知ったこっちゃないが、特にランサローテ島。時々出てくる変態的なシーンがどえらい変態設定。普通の顔してど変態。爽やかなバーバリーマンみたいな二律背反がまかり通っている。

ようやくほんの少しだけ作品の話をば。
変態扱いしまくりだが、ウェルベックの文学はSFでもある。あり得そうなほど緻密で恐ろしく巧妙。

同氏の小説は最初に書いた「ランサローテ島」の他、「地図と領土」「ある島の可能性」を読んだことがあるが、どれも後味が悪くスッキリとしない。もともと女性が読んでもそれほど共感できないものなのかもしれない。

フランスの実在するメディアや地名の固有名詞がバンバン出てくるから注釈は多いし、どう考えても主人公はモテすぎだし、容赦なく死ぬ。
ただ食事のシーンはなんとも美味そうで、室内などの場所の描写はとてもイメージしやすい。
どの漢字がふさわしいか、とにかく「たんたん」としている。小説に対して変な表現になるが、無音。

知識が無ければ無いほど読むのに疲れて途中で置いていかれて迷子になる。
が、なぜか読み終わったあとにもう一度読んでみようかという気になる。

それがウェルベックの文学なのか。謎の中毒性がある。そうではなくて、余韻か後腐れなのかもしれない。

ウェルベックは、昨今のイスラム教の存在感を予言するかのような小説を書き、それがとても有名。
ここまで書いて、すでに読み手を選びそうな小説家だと思われるだろう。変態だし。

まさにそうなんだけど、選ばれる・選ばれないと言った方がいいかもしれない。私は選ばれなかった。読めば読むほどよくわからない。たぶんもう読まない。ギブアップです。

選ばれる読者は広い教養があって博識でわりと暗いと思う。ウェルベック本人は暗くなさそうだけど。

読みたい方はビギナーズラックの「地図と領土」から手に取るのをおすすめする。性的描写はほぼ無かった気がする。私は読破に2週間かかりました。
芸術とミシュランガイド、そしてウェルベックが殺される話です。(ネタバレ)

 

地図と領土 https://www.amazon.co.jp/dp/4480433082/ref=cm_sw_r_cp_apa_i_n4RnEb140NJV1

ある島の可能性 https://www.amazon.co.jp/dp/4309464173/ref=cm_sw_r_cp_apa_i_e7RnEbZR8090W

ランサローテ島 https://www.amazon.co.jp/dp/4309206514/ref=cm_sw_r_cp_apa_i_D2RnEbYEP4VXA

あと日本の変態だったら吉村萬壱の短編集「ヤイトスエッド」も相当です。わかりやすい変態。おすすめしません。

ヤイトスエッド https://www.amazon.co.jp/dp/4062153734/ref=cm_sw_r_cp_apa_i_TeSnEbJ3B26SP