オーストラリアでホームステイ 1.出国前

オーストラリアに短期留学したことがある。
約1ヶ月、ホームステイで現地の家族にお世話になりながら英語教育機関で勉強をするというプログラムだった。

当時大学2年生だった私は韓国語を専攻していたにも関わらず、なんかよくわかんないけどオーストラリアに行きたかった。
というか、海外に行ってみたかった。
しかもアジアじゃなくて、もっと分かりやすい外国に。THE海外に。
要するにシャレオツな金髪のガイジンというものに憧れていた。

ホームステイ。
やさしいファーザーと料理上手なマザー、おてんばだけど恥ずかしがり屋のドーターに、いたずらっ子のブラザー。
あたたかいオージーファミリーが私を迎え入れてくれる。
夕食はいつも家族一緒で、休日は観光に連れていってくれて、ときどき日本食を一緒に作ったり。
別れの日には朝からなんとなく皆がしんみりしてて、チルドレンが涙する姿にもらい泣きしそう。でも笑顔で絶対こう言うんだ。
「I'll be back」


趣味が妄想、なんて表現を軽く飛び越えてただの妄想野郎だった私は、出国前からホストファミリーたちとの「出会い編」~「別れ編」のイメトレが済んでいた。のだが。

妄想は妄想だった。


ホームステイ。
それは、ホームステイする者にとっては憧れと不安の入り交じる、特別な日常。

経験した女子大生ヘミヤマは知る。


ホームステイ。
それは、ホストファミリーにとって、日常とちょっぴりのビジネスなのだ、という現実を。