患部のモチベーション

忌々しい毛量め、日頃からその扱いづらさ目に余る。成敗してくれる覚悟せよ、と気合いをいれて美容院を予約。するとあら不思議どうしたことでしょう。それまで傷んで好き勝手やってくれていた髪がするんつるんとまとまるじゃないですか。え、美容院の予約した途端…?え、やっぱ予約、やめとく…?


こういうことが、ままある。


行き時が微妙にわからなくて、悩みのピークで行きたいと思ってるのになんとなくピークが過ぎたり、解決の方向に向かってしまう。なんか急に、悩んでる部分のモチベーションが上がる。絶妙なタイミングで本気を出しやがる。


例えば上述の美容院。

また例えば、病院。

単純性紫斑になって、半年以上経った。
どんな症状かと言うと、下肢つまり太ももの内側に、赤い点々がたくさん出てきているのだ。草間彌生もビックリの点々である。パッと見、火傷みたいな赤みだ。痛くも痒くもなくて、ただただ見た目が悪い。

ネットで調べても「治療しなくてOK」「ビタミンC飲んどけばOK」「死なないヨーン」という内容ばかりである。人の気も知らないで呑気なものだ。むしろ「大したこと無いから来るな」というメッセージすら感じる。

しかし点々が赤々として自分でもかわいそうになり、病院へ行ってみた。どうせビタミン剤しかもらえないのだろうけど。


期待もせずに訪れた皮膚科。医師が、若くてイケメンだった。

1ヶ月分の処方薬を出してもらってもうすぐ3週間経つ。イケメンの顔も思い出せなくなって久しいが、単純性紫斑はどうかというとなんとびっくり。

さらに成長(悪化&範囲拡大)した。


(何故だーーー!)と嘆きながら処方された止血剤とビタミン剤を飲む。

(クソがっ!cvがんばれるーや)と悪態をつきながら止血剤の効果を調べてみる。すると、「某有名シミ予防薬に入ってるやつ」だったり「カンパンに効くサプリに入ってるやつ」だということが判明。

(イケメン先生ありがとーーー!)単純性紫斑以外は今の季節に嬉しいシミ対策が万全な状態、マリオで言うスター状態だ。嬉しい。


単純性紫斑はますます赤く、広がった。他に対処する方法もないんだろうけど、もしかしたら処方薬を変えてもらえるかもしれない。または具体的に日常生活で気を付けるべき内容を聞けるかもしれないし、色々なケースを教えてくれるかもしれない。

わからないけど、悪化してるしもう一度行ってみよう。

そう思って、時間給を取った。早上がりして行こうと思って。



そして今、足をみてみたら、

なんか、

おさまってきてないか…これ…


なんで?なんで早上がりの申請した途端これ?

え、これ…病院、行く…?

もう少し様子見る……?

えー…

もし、病院に行ったとして、だ。


イケメン医師に「どうしました?」と言われたとき。

悪化のピークでその時が迎えられていたならば、その説明ができよう。

しかし今、ピークは過ぎている。
何を言えばいいんだ。

今私は、めちゃくちゃにイメトレしている。


先生「どうしました?」


私「一時すごく悪くなって、今日もう一度診ていただこうかと思って早上がりの申請を出した途端にピークが過ぎてしまい、しかしせっかくなので先生に会いに来ました」


先生「お大事にどうぞお帰りください」

悲しいオチしか想像できない。


私「なんかモチベーションが高まったみたいで」
    
 
先生「それはよかったお大事にどうぞ」
 
 
今私は、治ってほしいはずの単純性紫斑が、ちょっと悪くなればいいのにと思っている。