ストーナー
唐突に思い出した良本がある。
先日の記事の後に本についてだなんて、一体どんな鋼のメンタルよって感じですね。わりと、打たれ強いかもしれないです…(照)
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ジョン・ウィリアムズの「ストーナー」。
主人公ストーナーがどのようにして文学と出会い、大学で教師となり、結婚して、生きて、そして死んでいくのか。一人の男性について。
https://www.amazon.co.jp/dp/4861825008/ref=cm_sw_r_cp_apa_i_RnTUDbFH8XV3K
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原文は読んだことがないのだが、東江さんの翻訳がとても美しいのは作者が綴る言葉が美しいからだろう。
文体が美しいからと言って、別に美しい話ではない。ただ一人の男性の死ぬまでの話だ。
大学で教鞭をとるようになってからの、ストーナーをとりまく人間関係や派閥が、非っ常~にサラリーマンぽい。出世のためだとか学会だとか、誰のためのなんなのだという感じだ。淡々とした描写の中で、意外にもストーナーが情熱的であることに読んでいておお、となる。
結婚生活は理想とは違い(いや最初からもっとお互いのことを知ってから結婚しろよ、と思ったが)、妻との壁は厚く溝は深い。壁も溝も、本当はないのに。本当は無いからこそやっかいなのだろうけど。
妻とは違う女性との恋愛は、所謂不倫であるが、たぶんストーナーとその女性にとっては本当の愛だった。物語の終盤、それがわかるシーンは泣ける。ちなみに言っておくが誰も幸せにはならない。(いやだったらちゃんと清算しよう?と思うが、小説も現実と同様、人生そんな簡単にはいかないようだ)
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他人の人生、しかも小説だ。なのになぜ物悲しくて美しくて、やりきれないのに清々しいのか。
読む人が読んだら幸せな終わり。別の人が読んだら、悲しい男。男性が理想とする生き方と、苦々しい暗い部分。
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3年くらい前に読んだ本。今読んだらまた別の感動がありそうだ。(不倫のところなんて、今読んだら「バカじゃねーの鼻くそ」って思うかもしれない)
もうすっかり秋なので。なんだか寝るにはもったいないような、夜更かしのお供に。もしよければ。