先生に言われた忘れられない言葉

女子高に進学した。
厳密に言えば元女子高で、進学コースだけ男子の入学を認めた高校だった。
クラスには学年全体の5分の2の男子がいた。
学年の男子は全部で5人だったから、2人だけなのだけど。

女子高だ。しかも(自称)進学コース。
皆が勉強のストレスにまみれ、全員それほど仲良くない。
空気を読まなければ死、みたいなバトル・ロワイアル感あふれる殺伐としたクラスだった。

だから高校生活にはいい思い出はない。
というか、記憶そのものがほとんどない。

そのなかで私が唯一覚えている先生の金言をいくつか。


高校2年生
古文の時間、先生が身内の不幸で急に自習になった。その時見張り役として教室にやって来た地理の先生(小柄で痩せ型の中年男性)の言葉。

「お前らはバカなんだから!とりあえず何でも、はい!と返事しなさい!間違ってたらあとで訂正しなさい!」

確か、その先生がクラス全体に質問をしたときのこと。
空気を読まなければ、という暗黙の了解の下、こういうとき誰も答えない。
先生が投げたボールは、着地するまで皆が眺めるだけだ。
着地しても誰も拾わない。

そんな時、先生がキレた。

「お前らはバカなんだから!」

清々しかった。そうです。バカなんです。
誰も投げてもらったボールを無視しなければならない、明文化されていないルールの中で、誰もが生きづらさを自覚して誰も何も言わない、バカな女子高生なんです。


高校2年生
上記先生(地理/小柄で痩せ型の中年男性)の御言葉。

「君たちが悩んでたり考えてることなんて、他の人には関係ないですからね!
君たちの発言とか表情とかが、君たちのすべてなの!
他の人は、それしか受け取らないですよ!

君たちが悩んでても、他の人にはわからないですから!」

思春期クライマックスでラストスパートな女子高生には目からウロコで、あぁそうだよね、という感想を抱いたのを記憶している。

なんでその先生がそんなことを言っていたのか全然覚えていない。

ただ、先生の言葉が「他人に期待すべからず」とか「自己責任」という言葉に聞こえ、世界の狭い女子高生だった私の中にストンと刺さってじんわり響いた。


高校3年生

堀北真希に似ていますね」

日本史の先生(教頭先生/長身で痩せ型で眼鏡の中年男性)の言葉。

似て、ない。

ちなみにその先生は生瀬勝久にめっちゃんこ似ていた。あと大泉洋

大好きな先生だった。


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先生方、お元気ですか。
私のことなんて覚えてないでしょう。
私も先生方のこと、名前もあやふやなくらい、そんなに覚えてません。

でも先生方がおっしゃっていたこと、覚えてます。
そして当時より理解できている気がしています。

先生、私、最近ギャル曽根に似てるって、よく言われます。