帰省2021(前)

久しぶりに実家に帰省した。このご時世のこの2年の間に、用事のために弾丸で行き来をしたことはあったが、連泊することはおろか街並みの変化を楽しむ余裕なんてなかった。今回は久しぶりの帰省。加えて恋人と一緒に。

帰省したらまずは駅の近くでお昼を食べて、そして昼過ぎに実家へ行くことにしていた。
お昼ご飯をどうするか、事前に調べグーグルマップにフォルダを作ってまで準備していた。岡田くんにとって初めて訪れる土地なので、地元っぽいのがいいだろうとピックアップしてあった。それなりに有名な蕎麦屋か地元B級グルメか、肉系か。
岡田くんは「カレーが食べたくなってきたな」と言った。

新幹線の中で緊張していた。私が。私だけが。
なんだか不公平にすら感じてしまうその余裕と、こちらが考えていた昼食のななめ上を行く発言。やい岡田くんや、いまあなたが見ているインスタのお店、車じゃないと行けないんだぞい。そばの方が駅ビルの中だから近いよ、定食っぽいのもあるよ。(カレーかよぉ。東京の方がおいしいよぉ、確かにカレーは好きだけどキャリーケースでの移動は大変だよぉ。)緊張と空腹感とで愚痴っぽくなる私と、それに気づいて上手にかわす岡田君。新幹線は雲一つない晴天の関東を通過してトンネルを抜けた。そこは一面真っ白な雪国で、それはそれは美しかった。後ろの席のお姉さんたちが「川端康成~」と言っていたので、多分あの新幹線に乗っていた人たちはほとんど同じことを考えていたに違いない。

ひとまず無事に到着。地元では、雪が溶けて水を含んでぐちゃぐちゃしていた。駅に一番近いカレー屋に入った。とてもおいしかった。

うーん緊張する、あそうそう、そこは割とおいしいパン屋で、ここは前セブンイレブンがあってネパール人の店員さんがいたんだよ、ここ左に曲がって真っ直ぐいくと、もうすぐだよ。緊張するー、雪とけてる、気を付けて。

とかなんとか、もはや独り言のようにしゃべり続け、我々はついた。
マイ実家に。


私「外壁が微妙な色になっている…」

岡田くん「え?着いた?ここ?」

ここで~す、じゃじゃ~ん
みたいな演出をしようと思っていたのに、全く持って不明瞭で微妙な発言で到着を伝えてしまった。

玄関の工事をしたと聞いていた実家は、元あった扉の部分がパッチワークみたいに微妙に異なる色の外壁で埋められてた。新しく作られた階段を上って、インターホンを鳴らす。中からどうぞ~と母の声。

さあ再会と大事なファーストミートよ。いくわよ岡田くん。
何度もイメトレした内容を思い出す。

~~理想の初対面~~

私「久しぶり~、元気だった?こちら岡田さん。岡田さん、こちらが私の両親です」

岡田くん「初めまして、よろしくお願いします。」

父母「初めまして。こちらこそよろしくね。遠いところ疲れたでしょう。ささ、入って入って!」

~~~~~

っしゃ。行ける。扉を開ける。いざや。

私「…開かない」

玄関そばの窓から父が見えた。え?なに?開かないんですけど?
押してダメなら引いてみろ?引いてるっちゅーの!

窓から見える父のジェスチャーが微妙に違う。
え? 横? …まさかの引き戸か~い(白目)


母「言ってなかったね~」
私「教えといてくれよ(怒)」
母「ごめんごめん」
岡田くん「初めまして~岡田です。お世話になります~」
母「いらっしゃ~い(喜)」
私「引き戸なんてわからんって」
父「おう」
私「荷物どこに置けばいい?」
父「とりあえず真ん中の部屋に置いて」
私「了解~」
岡田くん「岡田と申します。よろしくお願いします。」
父「ああ!どうも、こちらこそ」


おいおいおいー--私ー---


イメトレどこいったんだ。
私以外の人々がみんな大人で本当に良かった…。
もーほんと、ごめん…。


(まさかですが続く。)(しかも大した内容ではない)

あけましておめでとうございます!
今年もよろしくお願いいたします。
なんと仕事始めが明日からの私。すっかり社会に出るのが怖くなっております。
しかも仕事始めの初日に健康診断。中性脂肪が心配です。