結婚は買う時代 4.なめらかな日々
結婚相談所のマッチング無料体験に行ってみた。互いのプロフィールから希望する条件を検索するやつだ。ヒットした400人の中に、年収900万の人がいた。
すっげーや。
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無料体験、というのは結婚相談所だけに限らず、実際の商品を試す機会を与えることで客を引き付け、甘い言葉で夢を見させ、最後に「今だけ」というリミットをチラ見させることで畳み掛ける、営業手法だ。
要するに、商品を買わせるためのアトラクション。
書き方がよくなかったが、それで本当にいい商品なら・価値があると客が判断すれば、客は買う。しかし。しかしだ。
盛ってることだってある。でしょ。
年収900万円というのはたぶん検索結果の400人中、高年収第1位なんだろうと予想する。もしかしたら存在自体フィクションかもしれない。
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体験のあと、最後に入会金や月額の説明。それとプラス、セールストーク。
お姉さん「情報提供サービスは、モノを販売するのとは違うので、高い買い物に感じるかもしれません」
私(そうなんだよねぇ)
お姉さん「でも、これだけの実績があって、年間これくらいの成婚件数があるのは事実。」
私(確かにすごい。業界大手だけある)
お姉さん「入会して半年以内でお相手と出会うという人がほとんどなんですよ。」
私(まじかー。みんな決めるの早ー)
お姉さん「プロフィール検索のシステム上、入会して●ヶ月でモテ期が来ます」
私(モテ期が自由自在ー)
お姉さん「3年後、あの時行動してよかったと思えるはず」
私(それは、どうかなぁ…)
お姉さん「せっかくかわいいのに~モッタイナイ~」
私(猛烈に帰りたくなってきた…)
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わかったことがある。
入会すれば、出会いは確実にある。
そしてたぶん、入会すれば私も結婚できる。
入会と月額の会費で、年間20万しない。
20万円あれば、結婚できる。
そう考えると、価値はある。むしろ安いのではないだろうか。
もちろんその他に実際に会って食事するなどの交際費もかかるけど、大したことはない。
でも
本当に、私は結婚したいのか。
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就活のときの苦しみに似ていると思った。
やりたい仕事があるにも関わらず、すぐにできない状況だった。だから就活は仕事のやりがいとかじゃなくて、会社の福利厚生やら休日ばかり見ていた。
自分の気持ちに嘘をつくのはとてもストレスだった。
とりあえず就職するためだけの就活だった。
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無料体験をして思い出したのはそのときの、ヒリヒリした感情。
仕事はご飯を食べるためには必要だから。いつでも転職できるから。「とりあえず」でもなんでも、なんとかなった。
結婚はどうなの?
今自分が入会しても、「とりあえず結婚する」ための婚活になる気がする。
周りの人に「ヘミヤマさんには幸せになってほしい」と勝手に祈られることにうんざりしているだけ。「家と会社の往復?ダメダメ!」とダメ出しされるのが嫌なだけ。「彼氏は?」と帰省の度に不毛な質問をされるのに嫌気が差しているだけ。周りの結婚信者たちから解放されたいだけ。
そのためだけに、婚活しようとしてないか?
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いつかは結婚したいと思っているし、もはや結婚願望の無い人と付き合う気は無い。我ながら、自分ほど入会にふさわしい人物はいないのではないかと思える。
であるならば、なぜ。
わかってる。要するに覚悟が足りないのだ。
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今は入会しない。
年末のボーナスが出たらあっさり入会するかもしれない。もっとずっと後、何年も先かもしれない。そのときはきっと、もろもろ覚悟ができている。そのときは確実に「とりあえず」じゃない結婚をするための入会だ。または「とりあえずでOK!」と腹を括っているはず。
「20代のうちに入会しておけばよかった」と思うかもしれないが、今はその時じゃないのだ。 たぶん。
以上が無料体験の所感。
結婚は買う時代。買える時代。
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お姉さん「もし入会金も会費も無料だったら、入会します?」
私「す、するかも…」
本当に私には覚悟が足りていない。
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脳内BGMは全然思い付かなかったのでmitsume(ミツメ)の「なめらかな日々」にしておく。