複雑な感情と有り余る富(ドライヤー)

ちょうど一人暮らしを始めるタイミングでカタログギフトをもらった。せっかくだから新生活に必要なものを注文しよう、と届いたのが現在まで使っているドライヤー。

そのドライヤーが最近小さくスパークした。

いや、あぶねぇ。小スパークとて!

洗面台の鏡の前で髪を乾かすと、吹き出し口から緑っぽい発光。

火花…?!とすぐに使用を中止し、まだ微妙に濡れている髪をCOOLな送風で乾かす。乾かない。髪、ごわごわ。

しかしここで再度TURBOにしてスパークしたとして、髪が燃えたら笑えない。チリチリくらいなら笑えるかもしれないが、いやあぶねぇ。危なすぎんだろ。ごわごわで妥協の方がましじゃい。

こんな感じでスパーク時は、ついうっかり言葉遣いが汚くなってしまうほどビビった。

さすがに一人暮らし歴も長くなってきて、君(ドライヤー)も古くなったか…。感慨深い。

 

早すぎる梅雨明けに早すぎる真夏の到来。気温40℃近くの炎天下の中、ドライヤーを買いに行った。スパーク翌日のこと。

「炎天下の中買い物なんか行きたくない~命がけすぎぃ~」という気持ち(弱音)と、「ネットで注文したとしてすぐに届かなかったらその間のキューティクルはどうなる?」という気持ち(焦燥感)を天秤にかけ、後者が勝利した。だってキューティクルが一度逝ってしまったら、細胞の再生には時間がかかるから。30代をすぎたら細胞にまで気を遣わなければいけないと。女子のたしなみ。

 

わかってはいたが暑かった。駅ビルの温度計が40℃を示していた。

汗だくでたどり着いた駅近くの電気屋でドライヤーを購入。二番目に安いやつにした。即決だった。

いや30代ですし、素敵なドライヤーで素敵なキューティクルをゲットだぜ~なんてのも全然ありだとは思ったんですよ?一応ね、素敵なドライヤーコーナーも見ましたよ?でも何?ナノケア?高ッ…!(引)

って感じでした。機能とか見る前に金額見ちゃった。ははは。すまんな私の頭髪。そこまで君に投資できる器じゃないのだよ。かろうじて今回購入したやつはマイナスイオンが出るらしい。目に見えないので検証のしようがないが、プラセボ効果でなんとかする。だから許せ私の頭髪及びキューティクル。

 

何が " 女子のたしなみ " だっつ~んだよって話だ。

汗だくで帰宅。

新品のドライヤーの箱を開け、ピカピカな本体にうきうきしつつ早速試しにスイッチオン。申し分ない風量。ほほほ。とてもいい買い物をした。

選手交代。今までありがとう、とスパークしたドライヤーと新品を入れ替える。

 

あ、そういえば、と、箱に同梱の説明書を見る。

火花が出ることがあるなんて書いてないだろうか。ちょっと気になって見てみた。

 

『故障かな?と思ったら』 はいはい。

『火花が出た(実際には安全装置です)』 これですこれ。

 

火花が出た(実際には安全装置です)

 

 

…むむむ…??? あ ん ぜ ん そ う ち ???

 

『火花ではありません。高温になりすぎると、安全装置の緑の光が点灯します。』

 

『吸引口のほこりを掃除してください。』

 

火花じゃ、ない、  …  だと…??たたたたたしかに、緑のスパークだった…!

んんー---??

え?掃除? あ はい、え?吸引口は、きれいです…。吹き出し口、ちょっとほこりついてますね…。はい、とりました…。

 

え?つまりこれ、壊れてない…? 使ってみる…?

 

あれ?

 

火花…  でないねぇ…… 普通に使えるねぇ…

 

 

君、元気ねぇ~……。

 

 

元気を取り戻したドライヤーは見事現役に復帰を果たし、新入りはベンチ入りしている。

つまり、今、私の部屋にはドライヤーが2台ある。感慨深い。違うな。何この感情。