洗濯物の干し方

私が仕事で岡田くんが休みという日の前日、岡田くんは自分が洗濯をするからもうちょっと朝寝てれば、と言ってくれた。お言葉に甘えていつもよりちょっとだけ余計に寝て、ゆっくり準備して家を出た。帰宅すると、ピンチハンガーにかかったままの洗濯物がベランダから取り込まれていた。岡田くんは夕食を作りながら、まだ乾ききってないんだよねと言う。冬なので仕方がない。乾いているものだけでもたたんでおこうと思って、触って確認しながら外していった。

もちろんだけども、私の下着なんかも洗って干してくれている。私も岡田くんのパンツを干すんだから、岡田くんが私の下着を同様にしていても全然おかしくはない。おかしくはないけれど、ちょっと照れくさいような恥ずかしいような。一緒に暮らしているのだから、そんな遠慮をするのは逆に失礼かなとも思って、気にしていない風にしている。

タオルや薄手のTシャツには乾いているものもあった。外したり洗濯ばさみにつけなおしたりしていたら、タオルで目隠しするようにして、その中に私のパンツとブラを見つけた。それぞれ1つの洗濯ばさみにぶら下げられていた。ダラリと下がっているそれらは非常に不格好で、ちょっとかわいそうで、とてもおかしいことになっている。でも目隠ししてくれてる。なにこれウケる。ぶら下がった洗濯物に隠れながらニヤニヤしていた。たぶん岡田くんは料理に真剣だったから気づいていないはずだ。

基本的に、私は家事のやり方はお任せしている。食器を洗う時に水を出しっぱなしにしないでほしいということだけ伝えたが、あとは各々のやり方でやっている。最終、掃除は部屋がきれいになればいいし、洗濯も汚れが落ちて乾いていればいい。食器も油汚れがなければいい。なんでもいい。だから洗濯物の干し方も、お任せだ。1つの洗濯ばさみにブラのホックの近くを挟んでぶら下げていても、私は全然気にしない。

 

別の日、また岡田くんが洗濯をしてくれた。そしてまた私が乾いているかチェックしながら洗濯ばさみから外していた。またも目隠しにしてあるタオルの中から、私のブラとパンツが見つかった。今回も1つの洗濯ばさみでダラリと干されているかと思っていたら、なんとブラにつけられた洗濯ばさみが2つになっていた!ブラをさかさまにしてアンダーの、生地が硬いところに2つだった。思わず心で拍手した。すばらしい進化だ。洗濯ばさみの距離が近くてゆるっと弛んだ干し方にはなっているが、そんなのどうでもいい。何かで調べたのか、私の干し方をみて研究したのか。考えながら干してくれた姿を想像したら愛おしくておかしくて、思わずそのブラを写真に撮ろうかと思ってしまった。

 

次に岡田くんが洗濯をしてくれたら、今度は完璧にブラが干されているだろうか。そんな期待と、そのままでもいいけどね、という妙な感情がないまぜになっている。