服が買えない。

夏服が買えない。


30代に突入したくらいから、元々得意ではなかった「服を買うこと」が、拍車をかけて苦手になってきている。

 

まず、服を買うためのコンディションが整っている日が少ない。
そもそも服を買いに着ていく服が無いのだ。おシャレなアパレルショップによれよれのTシャツと汚れたスニーカーで行ったら最後、店内の鏡にうつる自分と目が合って爆発しそうになる。服を買いに行くための服がないというのは高校生の頃からそうで、友達とセールに行くことにした時だって私だけ制服で行った。当時この方法は不自然に見えず(そうだったと信じている)とても有効だったが、30代の今この手段は法に触れかねない。

 

次に、試着のハードルが高く感じるようになった。
試着するためにはまず店員さんに声をかける必要がある。そしてサイズ感がどうとか着た感じのイメージが合う合わないだの、コミュニケーションが必要。このコミュニケーション能力が、ここ最近ガクーっと落ち込んでいる。明るく話しかけてくださるのに、自分の気持ちをそこまで上手に持って行けないというか、チューニングが下手になったというか。
なによりそれ以前に、試着して全然似合わず結局買わない、というところまで先行して想像して、早々に心が折れる。一方で、絶対に試着をした方がいいとわかっている。だから葛藤して、葛藤して葛藤して葛藤して…、それだけで疲れる。ちなみに試着しないで買ったときの勝率も、年を重ねるごとに下がってきている気がしている。

さらに私はとても汗をかく。多汗症ではないと信じているけれど、夏だし暑いしとても汗が出る。頭の毛穴から汗が吹き出し、だらだらと伝ってくる感覚は鬱陶しい。帰宅して服を脱ぐと、下着まで汗で濡れている。そんな人が試着していいのでしょうか。申し訳ないのでできません…。

 

それくらい汗っかきなので、服選びの際も悩ましい。素材や生地を考えずに、デザインだけで購入したらどうなるか。悲惨を通り越して凄惨な事態になるだろう。
汗をかいたところの色が変わり、べっとりと体に張り付く。脇や背中だけじゃなく、お尻や太ももの裏も汗をかいていることが見てわかる。
このテロテロの生地は危ない。このブルーは危険。安全な色なんてあるのか。白も黒も、汗染みはどうやったって見えるだろう。

そんなことばかり気にして、服が買えない。
そんな自分がほとほと嫌だ。結局いつも何も買えず、自己嫌悪と疲労感に包まれて帰宅する。

あー 疲れた、もういいや。てな具合だ。